売買物件 資料だけでは分からない事
LINEで、とある師匠に教えてもらった。
市内の住宅用地で1番高い路線価の町で、変り種物件が出た。
角地。鉄骨造の店舗併用住宅。
1,350万。
破格だ。
個人事業主のお客様に紹介してみると「見たい!」とおっしゃるので、ご案内して来た。
売主側の仲介業者を”元付”と言う。
元付業者さんは、あまり多くを語らなかった。
売主さんとは、別の縁で1度お会いした事があった。
「覚えてますか?」と挨拶すると
「あー!あの時の。山形じゃ稼げなくてね、この通り。今は東京だよ。」と、
バツが悪そうに笑ってくれた。銀行の抵当権が残っている。
話題は山形の大手百貨店の倒産から、大物実業家の話しへと転じた。
このワダアリヒロ氏が、他にどんな事業をしているのか、有名らしかった。
元付業者が急に語りだしたのは、このシーンだけだった。
不動産業というのは、
”大物と繋がってますよ感” ・ ”知ってますよ感” が大事にされている気がする。
くだらないなーと正直思ったりもするけど、
この記事が出る前に、ワダアリヒロ氏について、
パパから事前に教えてもらっていたので、何とか話についていけた。
大量の荷物で床が見えない。
厨房機器もある。
売主さんが、私のお客様にどんどんセールストークをしている。
「これは撤去できるよ。全部処分するよ」
(お客様)「この価格でですか?」
「価格次第でしょー」
みのもんたみたいな顔して続ける。
「この壁も、全部撤去できるよ。ここも外せる。鉄骨造で丈夫なんだ」
おいおい。
建物の中、空っぽにした価格でしょ普通。
いやいや。
それリフォームの話でしょ。
先ほど饒舌だった元付業者は再び、何にも言わなくなった。
曖昧な事は明確にしてあげねば。
「この”はさみ”も含めて1,350万ですよね?」
と、手元にあった残存物を持ってにっこりしてみた。
「そう!私が必要なものだけ持っていくけど、あとはぜーんぶこのまんま!」
(ですよねー)
「増築かなりされてますね。登記はされてますか?」
「そういう余計な事は一切してないよ!」
(はい。このままでは融資通せませーん。)
「確認申請や図面はありますか?」
「ないない。こっちは商売で忙しかったんだ、そういうのは一切ないよ!
完了検査も受けてないんだ!」
(おーい。床面積変更10㎡以上は確認申請しないとダメですよー)
「私、は大工さんにお伺いして聞いてみますよ。どこの大工さんですか?」
「喧嘩したんだ。図面も、どっかいった。大工の名前も覚えちゃいないよ!」
(建築士に依頼して図面引いて、土地家屋調査士に増築登記依頼してかー)
他の物件をご紹介する事になりそうだな
お金と時間を掛けて、ここの物件に拘るのか、決めるのはお客様だ。
例え+2,000万円かかったとしても、この一等地、アリだと思う。
円満にその場を終了して、
すっかり冷えたからだをカップスープで温めるのでした。