地上げなんかもするのだ (不動産屋さんのお仕事日記①)
営業活動エリア外。お隣、K市に行った。
「このあたりで、緑が多い広めの土地が欲しい」
というオーダーがあったのは、お正月休みの事。
「そこで結婚式を挙げたい」
素敵じゃないか!!!
想像しただけで、胸が熱くなる。
そういうお手伝いを どんどんやりたい。
っていうか、そんな大事な事、
”私”にお願いしてくれた事が何より嬉しい。
会社の上司の顔が一瞬チラついたが、迷わずお引き受けした。
正月休みだったけど、いてもたってもいられず
ipadとぷくちゃんを相棒に車を走らせた
天気も良く、普通に快適なドライブだった
1ヶ月が経ちターゲットが決まった。
所有者を調べ、突撃訪問。
いわゆる『地上げ』だ。
いきなり訪問して、「おたくの土地売ってくれ」と交渉するのだ
車は坂道を登っていく…所有者の家に近づいていく。
頭の中は、
塩まかれるかな?と
悪いイメージがどんどん膨らんで行く…
二股に分かれた路地を曲がると、いきなり雪景色に変わった。
部落には2件の家がぽつんと建っていた。
どっちの家か分からなかったが、直観でピンポンを鳴らした
80代くらいだろうか。
おじいちゃん。
なるべく おっきな声で、ゆっくり話した。
「今よぉ、掃除してたんだ。まず、上がれぇ…」
え!
いいの!?
おじゃましまーす!!
いきなり来た私を家の中に上げてくれた。
置いてあった病院の薬の袋に名前が書かれている…
当たり!
私が目指していた家だった。
こたつには天板がのっていなかった
「手伝いますよ!」
と、天板をのせた。
こたつの天板って結構重いのだ。
「ありがとう。足が悪くてよぉ…」
…可愛い。
いきなり土地の話するのも気が引けるなぁ…
でもやらなきゃ!
一通り話したあと、
もう一度話を聞いてくれる事になった。
私は、
「今日会えて良かった」
「ありがとうございます」を
繰り返した。
ドラマやなんかの 地上げ屋 って、
悪いイメージしかない。
でも私の地上げは
ゆるい(笑)
さてさてこの話、
どうなることやら。