地上げなんかもするのだ(不動産屋さんのお仕事日記②)
私の ゆるーい地上げ交渉のその後…
「息子が反対している」とお断りのお電話があり
それでもあきらめず、お手紙を出して、会いに行く事にした。
だがしかし。
速達で出したら翌日
速攻でお断りの電話が…。
声は本当に怒っていた。
それでもなお
「全部とは言わないです。一部だけでもだめですか?」と
聞いてみた。
「だめだ。これ以上来ないでくれ。息子と喧嘩になりたくない」
声に怒りと拒絶を感じた。
お会いした時の優しいご老人の声色ではなかった。
きっと息子さんに、
「なにそんなやつ家に上げてんだ!バカヤロー!」とでも
言われたに違いない…。
そっかー。
仕方あるまいなー。
老いては子に従え…か。
申し訳ない…
正直、まだ粘る根性は残ってる。
でもやるべきではない気がした。
「すみませんでした。」と終了した。
とは言え、絶対にこの案件、お手伝いしたい!
お客様の喜ぶ顔を…
その土地でガーデンウェディングを挙げる笑顔を見たい…
さぁ、どうする!?
ここはひとつ・・・
名刺を取り出し、電話を掛けた。
その組合長はリタイアされている事は知っていた。
当時、聞いたのは
「山を売りたいって人はいるんだけど、買う人がいないんだよね」
というお話し。
「確かに『山探してます』っていうお問い合わせは頂いた事がないですね」
と、笑ってお茶を飲んだ記憶が蘇った。
これしかない!
「突然のお電話失礼致します。
以前●●組合長とご縁がありまして、
そちらの事務所にも何度かお邪魔させて頂いた者です。
折り入ってご相談したい事がございまして…
お時間頂けませんでしょうか?」
「あぁそうでしたか。
んー、3月だったら…時間取っても良いですよ」
とにかく今は大事な会合の準備があり、忙しいらしい
3月のナンニチなら良いのか、ここでアポを決めたかったけど、
忙しくて先の事まで考えられない雰囲気を感じる。
強引にこちらの都合を押し付けて
印象を悪くしてはいけない。
「お忙しい中、この様なお電話してしまい、申し訳ございませんでした。
では、3月に入ったらご連絡します」
「そうですか。じゃ、総務の●●あてに連絡して。
ここ何十年と売買の手伝いをしていない。
でも、山を売りたいっていう相談は度々あるんですよ」
「ありがとうございます!では改めさせて頂きます!!」
やった!!山売りたい人いたー!
お客様にも報告した。
先の話が飛んでしまった事は、やっぱり残念そうだった。
でも、山も気になるとおっしゃって下さった!
早く良い報告がしたい…。
すると。お客様の方でも色々動いていらっしゃった。
とある旅館オーナーが所属する、ある団体で
ちょっとしたプロジェクトがあるらしく、
お客様に協力要請があったとの事。
そこでうまく行けば、ガーデンウェディングもできるかも知れないとの事。
ん?買主がこのお客様ではなくなるって事か?
その協力要請はなんとなく断った雰囲気も感じるぞ?
なんだか良く分からないなぁ…
けど…
その旅館オーナーさんは、
4年前に売買のお手伝いをした方だった。
「あなた、なかなかやるわね」
と言って下さったあの方…。
産休で引き継いで、実際にお会いせずに終わってしまった。
無事契約は済んだものの、
あれやこれや大変な所は私が片付けたのだし…
自分の手で最後までやり切りたかったと
心残りだった。
ここで繋がれるかもしれない。リベンジできるかもしれない。
今は社長職を退ぞかれて、息子さんがメディアに出ている。
お電話で話したあの女性の前社長、
お会いせずに終わった私の事を覚えているだろうか…?
今度こそお会いしたい。
そして、このお仕事を成功させたい!!
でもお客様も顔が広くて、
「あ、もう決まっちゃいましたー(笑)」
ってオチも十分ありえる。
さてさてこの話、
どうなることやら。