くうねるあそぼー

急に何かにはまる癖があります。色々やってみる雑記ブログです。仕事は不動産屋さん。人の人生に関わるこの仕事なので、日々思う事・感じる事が多くて、どうしようもなくなってブログ始めました。どうかゆるい目線でお付き合い下さい。

空き家の利活用と聞いた時の反応について

  • ”空き家の利活用”っていうフレーズが、嘘っぽくさえ感じて来た今日この頃。

皆様、いかがお過ごしでしょうか?

 

地域活動家さんとお仕事を共にしてみますと、

スキームは良いのですが、

 

不動産屋さんの情報が欲しいのではないのですよ、と、

お客様の目が言っている気がする事が、多々あります。

 

***

不動産屋が言うのも変ですが、

これ納得しているよ、安心して下さいね、と

伝えたいのです。

 

”空き家利活用”と聞くと、

なんでもできそうな感じがしてワクワクするのに、

”不動産情報”と変換が入った途端、一気に、ガックーンと

リアクションされます。

ですし、私もそうですよね、と縮こまりたくなります。

『不動産屋さん』を、いかに薄~くするかが、

エリアリノベーションの成功の秘訣なのかなと、思います。

 

今回は、上記被害妄想についてと、あくまで個人的な見解の、お話しです。

 

 

 

***

山形県には芸術大学がありますが、

どうやら学生さん、あるいは卒業生さん達の

創作スペース不足が慢性化している様です。

 

「うちに空き家があって、いっぱい物であふれてるけど良い?

 それでよかったら、好きに使いなよ」という所有者さんが少ないのかと思います。

 

一方…

 

空き家はいっぱいあるのに。空いてるなら貸して欲しいのに。

という声も良く聴きますが、いざ紹介すると、

山形市内から遠い」「駐車場が足りない」と言われます。

そしてご予算は大体、3万円が相場です。

 

3万円は良いとして、

山形市外で良いです」「片付けします」「自分で直します!」

という人もまた、少ない様で…。

 

大家さんが良い人で、安くて、味のある物件。

たまに、そうした空き家が出ても、

競争率は高くて、全ての芸術家の手には渡らないのです。

 

***

さて、話は変わり、

本日、村山市楯岡商店街の街歩きワークショップをしました。

 

 

 

私はなぜか、ゲスト。

いっぱい宣伝して誰も来なかったら心折れるかも~…と

自尊心防衛の為に、最初からあまり宣伝しない、という選択をしました。

 


というわけで、

2日間だけリールに出しまして、

かっこいい蔵の物件の見学もあるよ、と添えました。

 

 

 

来場0組も覚悟していたけど、なんと2組も来てくれて、

さらにありがたい事に、不動産屋さん仲間も3社来てくれて、

運営と、お子さんも入れると、10人で街を練り歩ける結果となりました。

 

***

いざ、商店街へ着くと、

土曜日だというのに、私たちは誰ともすれ違いませんでした。

 

今日は県内で卒業式が開かれる日のせいもあるし、

そんな日の午後は、大抵の家庭ではお祝いしているか、

郊外のイオンや、回転寿司や、日帰り温泉に行っているのかもしれないです。

 

とにかく、商店街には人はいなかった…

 

2年前にも、同じ商店街の街歩きをしました。

2年前に比べて、シャッターが下りている気がしました。

 

という事は、つまり、

2年間誰にも使われていない空間がある、という事…

いや、きっともう何年も使われていないはずなのです。

 

 

***

街歩きは2か所のチェックポイントを設けていました。

一つ目は、お菓子屋さんの事業継承。

二つ目は、お蔵の貸しテナント見学。

 

 

 

お菓子屋さんは参加者さんに言いました。

「この町を選ぼうとしてる理由は、どうしてですか?」と…

 

山形には大きく分けて、3つの地銀があります。

そのうちの2つの銀行が、この商店街から姿を消してしまいました。

 

「車社会に乗り遅れたと言ってしまえば、そうなのかも知れないが、

この辺に来る人というのは、銀行に来たついでに、店に寄るというのが常だった」

お菓子屋さんは寂しそうに、そうおっしゃいました。

 

私は故郷の青森を思い浮かべ、

村山市と雪の量は同じくらいの町で育ったなと思いました。

確かに、雪深い街で、わざわざ寒い中外出するのは、とてもおっくうでした。

今や銀行だって、スマホで解決できる。家の中で済んでしまう時代です…

 

それでも今日は、小春日和。

お散歩がとても気持ちが良く、

 

中学生くらいの頃には、友達と電車に乗って、

商店街へお買い物に行くのがとても好きだった事を

思い出していました。

 

今だってきっと…

目的地は何も、銀行だけとは限らない。

最近できた、食堂だって流行っている。

どうか、まだあきらめないで欲しい、と思いました。

 

家も土地も、

洋菓子も和菓子もお菓子作りのノウハウも、

設備も、

得意先も、

全部まだ残っているうちに、

継承者さんが来て欲しい。

 

一か所で頑張るより、やはり、街全体の底力を上げる必要がある。

それは急務である。

そんな使命を感じました。

 

「この自動ドアは50年もの。当時はめずらしくて、ドアの前に立って、踏みに来る人がいたりしたんですよ。いまでも現役です」

と、お菓子屋さんは誇らしげに教えてくれました。

 

優しいお人柄と、お店に残る年代物と、かわいいお菓子…

ずっと残って欲しいと思いました。

 

 

 

 

 

***

参加してくれたのは、それぞれ違う分野のアート系の方々でした。

 

今回の街歩きは、実際に店舗を活用してみたい方に絞って参加を募ったから、

具体的に、物件のどんな所に魅力を感じるのかを、生の声で聞く事ができました。

 

ある方は、

「物件も充分魅力だし、もうすでに魅力的に感じる古道具があった」

とおっしゃり、

 

 

ある方は、

「自邸を購入する時も、探すまでに苦労した。

タイル張りの昔のままのキッチンが決め手だった。

どの家も、キッチンを新品に交換されていた物件ばかりで、そうじゃないって思ってた」とおっしゃいました。

 

 

嬉しくてたまらなかった。

 

私は、この様な価値観の共有がしたくて、

日ごろから古い物件にフォーカスしているのですから。

 

 

***

不動産の色が濃くなると、空き家の利活用に求める

期待が薄れるのは、なぜだろう。

 

契約書の文面を見ると、

あぁ、このケースでもめたから、この条項が増えたのね、といつも思います。

生きづらい世の中です。生きづらい世の中が、少子化を生み、空き家を増やしています。

 

本来、ルールは何の為にあるのでしょうか。

不動産の場合は、

使用用途を守る規則と、支払の規則と、復元の為の規則の、

三つに分かれます。

 

良くもめるのは、復元の為の規則です。

・大家さんが直してくれない

・入居者さんが直してくれない

・退去精算費用が納得いかない

などなど…

 

だから、不動産の色が濃くなると、

ガチガチの契約書が立ちはだかり、

空き家の利活用という、

なんでもできそうなワクワク感から外れてしまう

 

空き家の利活用と、言うならば、

使用用途と支払いの規則に重点を置き、

復元の為の規則は、当事者間で最初に話し合って決めても良いのではないか?

と、個人的には、その様に思います。

 

そして、空き家の利活用で、営利は二の次で良いならば、

復元の縛りがゆるやかになれば、賃料も比例して、低くなると考えます。

 

 

 

***

その様に、

『空き家の利活用』は、本来の言葉の意味を達成した方が良いと思うのです。

 

山形ビエンナーレで見た、古家×アートの素敵さが、忘れられません。

2024山形ビエンナーレ 蔵王にて

2024山形ビエンナーレにて

2024山形ビエンナーレにて

2025.3.1蔵王にて

ビエンナーレ後も外壁に残ってるポエムを発見

 

 

 

街にアートが広がれば、どこかからか、人が集まる。

それはきっと、ゆるやかで、やさしい街になる。

極論、借地借家法の必要が無い理想郷が生まれ、

お互いが信頼関係にあって、感謝しあえる貸家。

その集積で、

アートで街おこしをしたいな、

 

『良い人と良い人をつなぐのが、一番たのしい』

ので、

 

不動産屋としてではなく、不動産屋の知識を活かす。

これこそが、私のライフワークなんだと、実感した日でした。